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【わかりやすく解説】危険物の指定数量と種類|消防法での第1類〜第6類までの特徴・用途等も説明

【わかりやすく解説】危険物の指定数量と種類|消防法での第1類〜第6類までの特徴・用途等も説明

本記事では、危険物を理解するうえで重要となる「消防法で定められている第1類〜第6類までの危険物」について、指定数量や特徴・用途等をわかりやすく解説しています。

なお、「危険物の概要」については下記記事もあわせてご確認ください。

1.危険物の指定数量とは?

危険物の指定数量とは、消防法第9条の3で

「危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量」と定義されている数量です。

これは、危険物の安全な取り扱いを目的として設けられた重要な基準で、一定量を超えると消防法に基づく厳しい規制が適用されます。

指定数量は、危険物の性質に応じて分類される以下の6種類に対して、それぞれ定められています。

危険物の種類

  • 第1類:酸化性固体
  • 第2類:可燃性固体
  • 第3類:自然発火性物質・禁水性物質
  • 第4類:引火性液体
  • 第5類:自己反応性物質
  • 第6類:酸化性液体

(参考)総務省消防庁|「危険物」とは?

(参考)総務省消防庁|危険物に関する通知等

(参考)消防法

(参考)危険物の規制に関する規則

(参考)危険物の規制に関する政令

1-1.第1種〜第6種の指定数量 一覧

各類の指定数量を、一覧形式でわかりやすくまとめました。

※もし以下の、指定数量を超えて危険物を貯蔵・取扱う場合には、消防法に基づいた厳格な規制が適用され、施設の届出や構造・設備に関する技術的な基準を満たす必要があります

指定数量未満であれば、市町村の火災予防条例に基づき、比較的緩やかな規制のもとでの管理が可能です。

【第1類の指定数量】
類別 品名・性質 指定数量
第1類 第1種酸化性固体 50kg
第2種酸化性固体 300kg
第3種酸化性固体 1,000kg

(参考)危険物の規制に関する政令|別表第三(第一条の十一関係)

【第2類の指定数量】
類別 品名・性質 指定数量
第2類 硫化りん 100kg
赤りん 100kg
硫黄、第1種可燃性固体 100kg
鉄粉、第2種可燃性固体 500kg
引火性固体 1,000kg

(参考)危険物の規制に関する政令|別表第三(第一条の十一関係)

【第3類の指定数量】
類別 品名・性質 指定数量
第3類 カリウム 10kg
ナトリウム 10kg
アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、第一種自然発火性物質および禁水性物質 10kg
黄りん 20kg
第2種自然発火性物質および禁水性物質 50kg
第3種自然発火性物質および禁水性物質 300kg

(参考)危険物の規制に関する政令|別表第三(第一条の十一関係)

【第4類の指定数量】
類別 品名・性質 指定数量
第4類 特殊引火物 50L
第1石油類(非水溶性) 200L
第1石油類(水溶性) 400L
アルコール類 400L
第2石油類(非水溶性) 1,000L
第2石油類(水溶性) 2,000L
第3石油類(非水溶性) 2,000L
第3石油類(水溶性) 4,000L
第4石油類 6,000L
動植物油類 10,000L

(参考)危険物の規制に関する政令|別表第三(第一条の十一関係)

【第5類の指定数量】
類別 品名・性質 指定数量
第5類 第1種自己反応性物質 10kg
第2種自己反応性物質 100kg

(参考)危険物の規制に関する政令|別表第三(第一条の十一関係)

【第6類の指定数量】
類別 指定数量
第6類 300kg

(参考)危険物の規制に関する政令|別表第三(第一条の十一関係)

1-2.危険物が2種類以上ある場合の考え方

消防法では危険物の「指定数量」を超えると規制対象になります。

ただし、複数の危険物を扱う場合は、それぞれの量を足すだけでは危険性を正しく判断できません。
そのため、各危険物の「指定数量に対する割合(=倍数)」を合計して判断します。

1-2-1.指定数量に対する割合の算出方法

「指定数量に対する割合」は以下の順序で算出します。

  1. 危険物ごとに「倍数」を計算

    「倍数 = 実際の量 ÷ 指定数量」

  2. すべての倍数を合計
  3. 合計が1以上なら、消防法の規制対象になる

1-2-2.指定数量に対する割合のシミュレーション

例えば、以下の条件でシミュレーションを行ってみます。

  • ガソリン:〈実際の量〉150L、〈指定数量〉200L
  • 灯油:〈実際の量〉600L、〈指定数量〉1,000L
  • 軽油:〈実際の量〉800L、〈指定数量〉1,000L

上記を「倍数 = 実際の量 ÷ 指定数量」の計算式に当てはめると、

  • ガソリン:0.75
  • 灯油:0.60
  • 軽油:0.80

合計倍数:0.75 + 0.60 + 0.80 = 2.15

合計が1以上(2.15)のため、消防法による規制が必要になります。

(参考)大阪市|危険物規制について

(参考)鹿沼市|知って得する危険物

サクラ運送に「高圧ガス・危険物の輸送」を相談・依頼する

2.危険物の種類

1章でご紹介した危険物の定義や知識について、第1類から順番にそれぞれ解説します。

2-1.第1類:酸化性固体

危険物第1類 酸化性固体の特長を図表等にまとめて、解説します。

第1類:酸化性固体

第1類危険物として指定されている酸化性固体とは「他の物を燃えやすくさせる性質をもつ固体の物質の総称」です。

単体では燃焼しませんが、他の物質を強く酸化させる力があります。
可燃物などと混合すると「熱や衝撃、摩擦によって爆発する危険性がある」点に注意が必要です。

代表的な品名には以下があります。

【酸化性固体の品名と主な用途】
品名 主な用途
塩素酸塩類 除草剤、マッチの原料、爆薬、漂白剤など
過塩素酸塩類 花火、爆薬、ロケット推進剤、マッチなど
無機過酸化物 漂白剤、酸化剤など
亜塩素酸塩類 漂白剤、殺虫剤、酸化剤など

2-2.第2類:可燃性固体

危険物第2類 可燃性固体の特長を図表等にまとめて、解説します。

第2類:可燃性固体

第2類危険物として指定されている可燃性固体とは「火炎によって着火しやすい、または比較的低温(40℃未満)で引火しやすい固体の物質」です。

単体で燃焼しやすく、酸化されやすい性質を持っているため、「酸化剤との接触や衝撃により爆発する可能性ある」ことに注意しましょう。

代表的な品名には以下があります。

【可燃性固体の品名と主な用途】
品名 主な用途
鉄粉 金属加工、溶接材料など
金属粉 塗料、火薬の原料など
マグネシウム 花火、照明弾の原料など
硫黄 殺菌剤、ゴムの加硫剤など

2-3.第3類:自然発火性物質及び禁水性物質

危険物第3類 自然発火性物質及び禁水性物質の特長を図表等にまとめて、解説します。

第3類:自然発火性物質及び禁水性物質

第3類危険物として指定されている自然発火性物質及び禁水性物質とは「空気や水と反応して火災や爆発を引き起こす性質をもつ物質」です。

  • 自然発火性物質:空気中で自然発火しやすい固体または液体
  • 禁水性物質:水に触れると発熱・発火する、または可燃性ガス(水素など)を発生する固体または液体

したがって、第3類の危険物は他の危険物と比べても特に取り扱いに注意が必要です。

代表的な品名には以下があります。

【自然発火性物質及び禁水性物質の品名と主な用途】
品名 主な用途
カリウム 〈自然発火性・禁水性〉化学反応剤など
ナトリウム 〈自然発火性・禁水性〉熱交換材料など
黄りん 〈自然発火性〉殺虫剤・爆薬原料など
アルキルアルミニウム 〈自然発火性・禁水性〉有機合成反応剤など

2-4.第4類:引火性液体

危険物第4類 引火性液体の特長を図表等にまとめて、解説します。

第4類:引火性液体

第4類危険物として指定されている引火性液体とは「常温でも蒸発しやすく、引火しやすい液体」の物質です。

引火点が低く、「わずかな火気や高温でも着火しやすい」性質があります。
また、引火性液体の蒸気が空気と混ざると可燃性混合気体となり、火花や静電気でも簡単に引火・爆発する可能性があることに注意しましょう。

このような特性から、第4類危険物は危険物の中で最も種類が多く、取扱量も多いのが特徴です。

代表的な品名には以下があります。

【引火性液体の品名と主な用途】
品名 主な用途
ガソリン 自動車燃料、発電機など
灯油 暖房器具、調理用燃料など
軽油 トラック・重機の燃料など
アルコール類 消毒、溶剤、燃料添加剤など

2-5.第5類:自己反応性物質

危険物第5類 自己反応性物質の特長を図表等にまとめて、解説します。

第5類:自己反応性物質

第5類危険物として指定されている自己反応性物質とは「自己燃焼しやすい固体や液体の物質」です。

燃える成分(可燃性)と、それを助ける成分(酸素供給性)をあわせ持っているため、「加熱などをきっかけに反応が始まり、大量の熱を発して爆発的に燃える恐れ」があります。

外部からの酸素供給がなくても燃焼できるため、密閉された容器内でも発火・爆発のリスクが高く、温度管理が特に重要になります。

代表的な品名には以下があります。

【自己反応性物質の品名と主な用途】
品名 主な用途
有機過酸化物 プラスチック製造、硬化剤など
ニトロ化合物 爆薬、火薬の原料など
アゾ化合物 発泡剤、化学反応の開始剤など

2-6.第6類:酸化性液体

危険物第6類 酸化性液体の特長を図表等にまとめて、解説します。

第6類:酸化性液体

第6類危険物として指定されている酸化性液体とは「単独で燃焼することはない液体ですが、反応する相手を酸化させるという性質」があります。
酸化性液体によって酸化させられた物質により火災が発生・拡大する危険性があります。

第1類の酸化性固体と似た性質を持ちますが、「液体であるため流動性があり、広い範囲に影響が及ぼす点」に特注意が必要です。

化学工業や研究分野で酸化剤として使用されることが多く、取り扱いには可燃物との接触を避けることが重要です。

代表的な品名には以下があります。

【酸化性液体の品名と主な用途】
品名 主な用途
過塩素酸 酸化剤、ロケット燃料の原料など
硝酸 肥料・爆薬・染料の製造など
過酸化水素 漂白剤、消毒剤、酸化反応剤など

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