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【簡単解説】高圧ガスの保管(貯蔵)に係る手続きと安全ルールについて

【簡単解説】高圧ガスの保管(貯蔵)に係る手続きと安全ルールについて

本記事では、高圧ガスを保管(貯蔵)している、もしくは検討している企業の担当者向けに、高圧ガスの保管(貯蔵)に関する必要手続きや、厳守すべき安全ルールについて、専門業者ができるだけわかりやすく解説します。

なお、「高圧ガス輸送」の概要については下記記事をご覧ください。

1.高圧ガスの保管(貯蔵)とは

高圧ガスの保管(貯蔵)は、高圧ガス保安法によって定義が定められており、

一定量(圧縮ガスの場合は0.15m³超、液化ガスの場合は1.5kg超)の高圧ガスを容器のまま置いておくことを指します。

業務上の保管はもちろん、一時的な置き場や車上積載(概ね2時間以上)も保管(貯蔵)とみなされる場合があります。

1-1.高圧ガスを保管する量(貯蔵量)によって手続きが異なる

高圧ガスは保管する量(貯蔵量)によって手続きが異なります。

【貯蔵量ごとの手続き】
第一種ガス
(不活性ガス・空気)
第二種ガス
(不活性ガス・空気以外)
必要な手続き
3,000m³以上
(液化ガスなら30トン以上)
1,000m³以上
(液化ガスなら10トン以上)
都道府県知事の「許可」が必要となる「一種貯蔵所」
300m³以上〜3,000m³未満
(液化ガスなら3トン以上30トン未満)
300m³以上〜1,000m³未満
(液化ガスなら3トン以上10トン未満)
都道府県知事への「届出」が必要となる「二種貯蔵所」
300m³未満 300m³未満 許可・届出は不要となる「少量貯蔵」
※ただし技術上の基準(安全ルール)は遵守

参考:経済産業省|高圧ガスに関する規制について

なお、都道府県知事の許可や届出が不要な「少量貯蔵」であっても「技術上の基準(安全ルール)」が免除されるわけではありません。

なお、「高圧ガスの種類」については下記記事でくわしく解説しています。あわせてご覧ください。

1-1-1.複数の保管場所がある場合は「合算」で判定する

複数の保管場所がある場合、それぞれの貯蔵量を合計して、「許可・届出が必要な規模かどうか」を判断しなければなりません。

複数の貯蔵量をまとめて扱う考え方を「合算」といいます。

ただし、すべてが合算対象になるわけではなく、一定の条件に該当する場合に限り、合算します。

合算の対象となる主な条件

  • 配管で接続されている場合
  • 同一建物内にある場合
  • 同一敷地内で保安距離内(ガスの種類により20m・30mなど)に位置する場合

例えば、工場内で保安距離を超えて離れた場所に貯蔵していれば合算対象外となり、個別に300m³未満なら届出不要です。
一方で、近接して設置している場合は合算対象となり、気づかないうちに300m³を超えて届出義務が発生することもあるため注意が必要です。

合算の条件は複雑なため、自社の状況に不安がある場合は管轄の都道府県または高圧ガス保安協会に確認することをおすすめします。

2.高圧ガスを安全に保管(貯蔵)するためのルール 8つ

高圧ガスの保管(貯蔵)については、高圧ガス保安法に基づく省令で「技術上の基準」が定められています。

技術上の基準とは、

高圧ガスを安全に保管・取り扱うために定められた具体的なルールを指します。

本記事ではわかりやすさのために「技術上の基準」を「安全ルール」と表現し、実務上、特に重要な安全ルールは以下の8つです。

高圧ガスを安全に保管(貯蔵)するためのルール 8つ

  • 容器を転倒・転落させない
  • 温度を常に40℃以下に保つ
  • 風通しを確保する
  • 火気から2m以上離す
  • 性質別に分けて保管する
  • 容器の腐食を防ぐ
  • 充填容器と空容器を分離する
  • 警戒標識を掲示する

それぞれについて解説します。

2-1.【安全ルール①】容器を転倒・転落させない

高圧ガス容器(ボンベ)は重量物であり、転倒や転落は重大事故につながるおそれがあります。
そのため、確実に固定し、安定した状態で保管することが基本です。

【危険な保管と正しい保管 例】
危険な保管 例壁に立てかけるだけ、またはチェーンなしで保管する 正しい保管 例チェーンまたはボンベスタンドで2か所以上を固定して保管する

転倒すると、ケガや設備損壊だけでなく、ガス漏れや爆発などの二次災害を引き起こす可能性があります。

2-1-1.バルブを保護する

万が一転倒した際、最も危険なのが「バルブの損傷」です。
バルブが折れると、「ガス漏れ」「火災」「爆発」「容器が飛ぶ(ロケット化)」など、重大な災害につながる可能性が高いです。

したがって、容器を転倒させないように固定することはもちろん、「保護キャップを装着する」「プロテクター付きの容器を使用する」など、バルブへの直接的な衝撃を防ぎましょう

2-1-2.横倒しはNG

原則として、ボンベは「立てて保管」するのが基本です。

例えば、アセチレンなどの一部のガスは横倒しにすると中の溶剤が流れ出す恐れがあります。
チェーンやボンベスタンドで2か所以上を固定し、立てた状態で保管しなければなりません。

2-2.【安全ルール②】温度を常に40℃以下に保つ

高圧ガスは周囲の温度管理が非常に重要です。

【危険な保管と正しい保管 例】
危険な保管 例直射日光の当たる屋外で保管する 正しい保管 例遮光屋根・カバーを設置し、日陰の風通しのよい場所に保管する

高圧ガスは温度が上がると、容器内の圧力も上昇します。
直射日光や熱源の近くに置くと、容器内の圧力が高まって

  • 安全弁が作動してガスが噴出する
  • 最悪の場合、容器が破裂する

といった危険があります。

屋外で保管する場合は、遮光屋根やカバーを設置するなどして直射日光を避けましょう。
また、屋内でもストーブや機械などの熱源の近くは避け、常に40℃以下を維持できる場所で保管することが重要です。

2-3.【安全ルール③】風通しを確保する

高圧ガスを保管する際は、ガスが滞留しないように風通しを確保することが重要です。

【危険な保管と正しい保管 例】
危険な保管 例シートや壁で四方を囲って密閉して保管する 正しい保管 例空気が常に流れる場所、または防爆型換気設備がある場所で保管する

万一ガスが漏れても、空気中に拡散される環境であれば、爆発や窒息のリスクを大きく下げることができます。

したがって、壁やシートで過度に囲って密閉状態にするのは避け、空気が常に流れる場所で保管しましょう。
また、屋内で保管する場合は、自然換気または防爆型の機械換気設備の設置が必要です。

特にプロパンガスなど空気より重いガスは床付近に滞留しやすい性質があるため、近い位置の換気(低所換気)にも十分注意しましょう。

2-4.【安全ルール④】火気から2m以上離す

高圧ガスの保管(貯蔵)場所の周囲2m以内は火気厳禁です。
(可燃性ガスを保管する場合は、2m以上の広い範囲が指定される場合もある)

【危険な保管と正しい保管 例】
危険な保管 例溶接作業場のすぐ横に、ガスボンベを置く 正しい保管 例床にラインを引き、2m以内を立入禁止ゾーンとして明示する

「火気」には、以下のようなものが含まれます。

火気 一例

  • 喫煙(タバコ・ライター)
  • 溶接作業
  • グラインダー使用時の火花
  • 電気火花を発するスイッチや機器 等

上記のような火気が高圧ガスの保管場所の近くにあると、ガスに引火して火災や爆発につながる危険性があります。

そのため、床にラインを引いたり標識を設置したりして、火気との距離を物理的に確保することが重要です。

2-5.【安全ルール⑤】性質別に分けて保管する

高圧ガスは性質の異なるガス同士を分けて保管(隔離保管)することが重要です。

【危険な保管と正しい保管 例】
危険な保管 例性質の異なるガス(酸素と可燃性ガスなど)を区別せずに並べて保管する 正しい保管 例性質ごとに分けて、不燃性の壁・仕切りで区画するか、十分な距離を確保する

性質の異なるガスを混在して保管していると、万一漏洩した場合に火災や爆発などの重大事故につながるおそれがあります。

例えば、「酸素(支燃性ガス)」と「可燃性ガス(アセチレン・水素など)」は、混ざると非常に激しく燃焼し、爆発につながる危険性が高いです。

重大事故を防ぐためにも、

  • 性質ごとに分けて保管する
  • 不燃性の障壁で区画する
  • 距離を確保する

といった対策を講じたうえで、保管しなければなりません。

2-6.【安全ルール⑥】容器の腐食を防ぐ

高圧ガスの容器は腐食を防ぐことが安全管理の基本です。
容器が錆びると強度が落ち、微小な漏洩や破裂の原因になります。

【危険な保管と正しい保管 例】
危険な保管 例湿った地面にボンベを直置きで保管する 正しい保管 例コンクリート敷きや架台の上で保管する

湿気の多い場所や水はけの悪い場所での保管は避けましょう。
特に、地面への直置きは腐食の原因になりやすいので注意が必要です。

コンクリート敷きや架台の上に設置し、容器の底部が水分に触れない状態を保つことが重要です。

2-7.【安全ルール⑦】充填容器と空容器を分離する

高圧ガスの容器は「充填容器」と「空容器」を明確に分けて保管することが重要です。
両者が混在していると、誤使用や取り違えなどの作業ミスや在庫管理ミスの原因になります。

【危険な保管と正しい保管 例】
危険な保管 例充填容器と空容器を区別せず、同じ場所に混在して保管している 正しい保管 例保管場所を分け、「充填」「空」の表示(看板・ステッカー)で明確に区別する

充填容器と空容器は、置き場所を物理的に分けておきましょう。
さらに、「充填」「空」といった表示を行い、誰が見ても一目で区別できる状態がよいです。

なお、空容器であっても完全に空ではなく、ガスが残っていること(残ガス)があるため、法律上は「貯蔵」に該当し、安全管理の対象となります。

2-7-1.空容器は速やかに返却する

空容器は使用後もそのまま長期間保管するのではなく、速やかに供給業者へ返却することが重要です。

空容器を保管し続けると、

  • 貯蔵量が増え、届出や許可の対象になる可能性がある
  • 保管スペースを圧迫し、管理が煩雑になる
  • 取り違えなどの作業ミスの原因になる

といったリスクがあります。

2-8.【安全ルール⑧】警戒標識を掲示する

届出・許可対象となる高圧ガスの貯蔵場所には、高圧ガスを取り扱っていることを周囲に知らせるための標識の掲示が必要です。

【危険な表示と正しい表示 例】
危険な例 正しい例
標識がない、または見えにくい場所に設置している 「高圧ガス貯蔵所」の標識を出入口など外部から見やすい位置に掲示する

標識は誰でも一目で認識できる位置に設置することが重要です。
ただし、外部から明瞭に識別できる大きさ・位置であればよく、厳格な色・サイズ規定はありません。

また、実務上は「高圧ガス貯蔵所」以外に以下の表示もあわせて行うのが一般的です。

標識に記載しておきたい内容

  • 火気厳禁
  • 立入禁止
  • 緊急時の連絡先
  • 取扱責任者の氏名

上記を明示することで、事故防止や緊急時の迅速な対応につながります。


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3.【業種別】高圧ガス保管での「リスク」と「ポイント」

現場で特に起こりやすい事故やミスをもとに、業種別に「注意すべきリスク」と「保管のポイント」を解説します。

【業種別】高圧ガス保管での「リスク」と「ポイント」 一覧
業種 注意すべきリスク 保管のポイント
建設現場
  • 屋外保管による盗難・いたずら
  • 重機がボンベに接触し、転倒・ガス噴出
  • 専用スタンドで固定し、フェンスの設置や施錠を行う。
  • 重機の旋回半径の外に保管場所を設ける。
製造工場
  • フォークリフトがバルブに衝突し、ガス噴出
  • 複数の保管場所が合算対象となり、届出漏れ
  • 保管場所にガードレールを設置する。
  • 各保管場所の距離・接続状況を把握し、合算対象になっていないか定期的に確認する。
自動車整備・
板金塗装
  • 溶接火花がボンベ近くのシンナーに引火
  • 油脂類との混在による火災
  • 溶接作業場所から2m以上離す。
  • 塗装用品とは完全に別区画で保管する。
物流倉庫・
運送拠点
  • 荷役中のフォークリフト接触によるボンベ転倒
  • 「一時置き」のまま貯蔵量オーバーで届出漏れ
  • ガードポールで接触を防止する。
  • 合計容積で計算する。
医療機関
  • 酸素漏洩による酸欠・引火リスクの増大
  • 廊下設置による避難経路の妨げ
  • 専用保管庫や固定器具を使用し、転倒・漏洩を防止する。
  • 廊下・避難経路には設置しない。
大学や
研究施設
  • 密閉室内で異種ガスが混在し、爆発・中毒
  • 換気不足によるガスの滞留
  • 性質ごとに保管棚を分ける。
  • 24時間換気や漏洩検知器の設置を行う。
飲食店
  • 厨房の高温によるボンベの過圧・破裂
  • 炭酸ガスが床付近に滞留し酸欠
  • 熱源から離れた40℃以下の場所で保管する。
  • 床付近の換気を強化する。
イベント会場・
展示会
  • 来場者のボンベ接触による転倒
  • 警戒標識の掲示漏れ
  • 柵・カバーで一般客が触れない状態にする。
  • 仮設でも警戒標識の掲示を怠らない。

高圧ガスの事故は、業種ごとの環境要因が原因で発生するケースが多くあります。
自社に当てはまるリスクを把握し、優先的に対策しましょう。

4.高圧ガスの保管(貯蔵)に関するよくある質問

高圧ガスの保管(貯蔵)について、よくある質問をまとめました。

Q1|少量しか保管していなくても、法律上のルールは守る必要がありますか?

回答
はい、守る必要があります。

高圧ガス保安法の安全ルール(転倒防止・温度管理・換気・火気距離など)は、保管(貯蔵)量に関係なく全事業者に適用されます。

Q2|300m³以上保管するときは、どんな手続きが必要ですか?

回答
ガスの種類と量に応じて、都道府県知事への届出または許可が必要です。

第二種ガスは300m³以上1,000m³未満、第一種ガスは300m³以上3,000m³未満が届出の目安で、許可は原則1,000m³以上、第一種ガスでは3,000m³以上が基準です。

Q3|高圧ガスを車に積んだまま保管してもよいですか?

回答
車両は貯蔵所としての基準を満たさないことが多いため、原則不可となっています。

車両への積載が2時間以上になると「貯蔵」とみなされる可能性があります。
加えて、密閉された車内は温度が40℃を超えやすく、非常に危険です。

Q4|空のボンベも「保管(貯蔵)」の対象になりますか?

回答
はい、対象になります。

空容器であっても、ガスが残っている場合(残ガス)があるため、法律上は「貯蔵」として扱われ、安全管理の対象となります。

Q5|高圧ガスを保管するために、資格は必要ですか?

回答
少量貯蔵であれば、資格がなくても保管は可能です。
ただし、製造・販売事業所の一部として貯蔵する場合は保安係員の選任が必要な場合があります。

なお、一種・二種貯蔵所においても、ガスの種類・貯蔵量・設置形態により保安係員の選任が不要なケースが存在します。

必要な資格や条件はガスの種類によって異なるため、管轄の都道府県や高圧ガス保安協会(KHK)に確認すると確実です。

参考:高圧ガス保安協会


高圧ガスに関するルールを理解していても、実際の現場では「このガスをどう安全に運ぶか」「法令に沿って輸送するには何に注意すべきか」といった課題に直面することがあります。
特に、高圧ガスの輸送ではガスの種類や取扱方法などに応じた適切な対応が重要です。

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