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【わかりやすく解説】不活性ガスとは|定義や種類一覧・用途、輸送時の注意点など

【わかりやすく解説】不活性ガスとは|定義や種類一覧・用途、輸送時の注意点など

本記事では、ガスを性質で分類したときの一つ「不活性ガス」について、定義や種類、用途、輸送時の注意点などをわかりやすく解説します。

なお、「高圧ガスの種類」については下記記事をご覧ください。

1.不活性ガスとは

不活性ガスとは

不活性ガスとは、

「化学的に安定しており、他の物質と反応しにくいガス」の総称です。
一般的な不活性ガスは燃えにくく、他の物質の燃焼を助ける性質もありません。

代表的なものには、窒素・アルゴン・ヘリウム・二酸化炭素などが挙げられます。

反応しにくく燃えない性質から、金属の酸化防止や食品の鮮度保持、消火設備など、幅広い現場で利用されているガスです。

ただし「反応しない=安全」ではありません。
密閉された空間に漏えいすると、酸素欠乏(酸欠)を引き起こす危険性があるので注意が必要です。

不活性ガスの中には、わずかに燃える性質を持つ「特定不活性ガス」と呼ばれるものもあります。

1-1.不活性ガスの主な用途

不活性ガスは、反応しにくく燃えないという性質を活かして、以下のようなさまざまな用途に使われます。

不活性ガスの主な用途

  • 溶接:溶けた金属を空気から守る
  • 食品保存:酸化やカビの発生を抑える
  • 防爆:可燃物への引火を防ぐ
  • 消火設備:酸素濃度を下げて火を消す
  • スプレー:エアダスターなどの中身を押し出す

なかでも、特に不活性ガスを利用した消火設備は、サーバールームや電気室、美術館の収蔵庫など、水をかけられない場所で採用されています。

1-2.不活性ガスの人体への影響

不活性ガスの漏えいによる主な人体への影響として、以下の2つを解説します。

1-2-1.酸素濃度が下がると酸欠になる

不活性ガスが人体に与える主な影響は、酸素濃度の低下による酸素欠乏症(窒息)です。
密閉された空間に不活性ガスが大量に漏えいすると、空気中の酸素濃度が下がり、酸欠事故につながるおそれがあります。

また、不活性ガスの中には空気より重いものがあり、ピットや地下室、タンク内部といった低い場所に滞留します。

無色・無臭のものが多く、漏えいに気づきにくいため、こうした場所で作業する前には酸素濃度計で数値を確認することが大切です。

参考:厚生労働省|酸素欠乏症・硫化水素中毒の防止対策

1-2-2.二酸化炭素が高濃度になると中毒症状が起こる

不活性ガスの一つである二酸化炭素は酸素欠乏とは別に、ガス自体の作用で人体に影響を及ぼします。
二酸化炭素が高濃度になると呼吸中枢が刺激され、中毒症状を引き起こすおそれがあるからです。

そのため、密閉された場所では十分に換気し、必要に応じて二酸化炭素濃度も確認することが重要です。

参考:総務省消防庁|二酸化炭素消火設備に係る安全対策

2.不活性ガスの主な種類 一覧

高圧ガス保安法令に定められた不活性ガスは、以下のとおりです。

【不活性ガスの主な種類 一覧】
ガス名 化学式 主な特徴・用途
ヘリウム He 沸点が非常に低く、液体ヘリウムはMRIの超伝導磁石の冷却などに使われる
ネオン Ne 電気を流すと赤く光る性質があり、ネオン管や看板の照明に使われる
アルゴン Ar 高温になっても他の物質と反応しないため、溶接の際に溶けた金属を空気から守る役割で使われる
クリプトン Kr 空気よりも熱を通しにくいため、窓ガラスの間に入れて断熱性を高めるのに使われる
キセノン Xe 強い光を出すため、自動車のヘッドライトなどに使われる
ラドン Rn 放射性を持つため、高圧ガスとして一般に流通することはない
窒素 N₂ 空気中に最も多く含まれ安価に入手できるため、タンク内の酸素を追い出して引火を防ぐ用途や食品の包装など幅広く使われる
二酸化炭素 CO₂ 空気より重く燃焼を抑える性質があり、消火設備の消火剤として使われる
フルオロカーボンの一部 - 熱を吸収したり放出したりしやすく、エアコンや冷凍機の冷媒として使われる

参考:一般高圧ガス保安規則

2-1.特定不活性ガス

特定不活性ガスは、「不活性ガスに分類されるフルオロカーボンのうち、わずかに燃える性質を持つもの」を指します。

温度60℃・圧力0Paの条件で着火した場合に火炎が広がる性質(火炎伝播)があり、通常の不活性ガスとは異なります。

代表的な特定不活性ガスは、家庭用エアコンのR32、カーエアコンのR1234yf、業務用冷凍機のR1234zeです。

法令上は「不活性ガス」に分類されながらも、わずかに燃える性質を持つため、「特定不活性ガス」として別途区分されています。

引火する危険があるので、取り扱いには注意が必要です。

参考:冷凍保安規則

3.不活性ガスを輸送する際の注意点

不活性ガスを輸送する際は、高圧ガス共通のルールを守りながら、荷下ろし時のガス漏れに注意する必要があります。

なお、不活性ガスは輸送する量が多い場合でも、「高圧ガス移動監視者」の同乗対象ではありません。

移動監視者が必要なのは、一定量以上の可燃性ガス・酸素・毒性ガスや、数量にかかわらず特殊高圧ガスを輸送する場合です。
わずかに燃える性質を持つ特定不活性ガスも対象には含まれません。

3-1.特定不活性ガスの輸送時には注意が必要

特定不活性ガスはわずかに燃える性質(微燃性)があるため、通常の不活性ガスよりも火災への注意が必要です。

そのため、輸送時には主に以下を携行する必要があります。

特定不活性ガスの輸送で主に必要なもの

  • 消火器などの消火設備
  • 漏えい時に備えた応急資材・工具
  • 注意事項を記載した書面(イエローカード)の携帯

高圧ガスの「自社輸送」や「輸送時の法律」については下記記事で詳しく解説しています。
あわせてご覧ください。

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