危険物を安全に保管するためには、消防法、危険物の規制に関する政令・規則、ならびに市町村条例に基づく基準を守る必要があります。
2-1.【安全ルール①】火気・熱源を近づけない
危険物の多くは引火性があり、小さな火花や静電気でも着火するおそれがあります。
そのため、保管場所の周囲では火気の使用を厳禁とし、十分な安全対策を講じる必要があります。
【危険な保管と正しい保管 例】
| 危険な保管 例ストーブや溶接機の近くで危険物を保管している |
正しい保管 例火気使用場所から十分な距離を確保し、「火気厳禁」の標識を掲示する |
「火気」には、以下のようなものが含まれます。
火気 一例
- 喫煙(タバコ・ライター)
- 溶接作業
- グラインダー使用時の火花
- 電気スイッチや機器のスパーク 等
特に第1石油類(ガソリン・アセトンなど)は、引火点が低く(21℃未満)、常温でも可燃性の蒸気が発生します。
そのため、わずかな火源でも引火する危険があり、熱源との距離管理を特に徹底することが重要です。
2-2.【安全ルール②】直射日光・高温を避ける
危険物は温度が上昇すると蒸気の発生量が増え、引火や爆発のリスクが高まります。
特に引火性液体は、加熱により容器内の圧力が上昇し、漏えいや破損につながるおそれがあります。
そのため、直射日光を避け、温度上昇を防げる場所で保管することが重要です。
【危険な保管と正しい保管 例】
| 危険な保管 例直射日光が当たる場所や高温になる場所で保管している |
正しい保管 例直射日光を避け、風通しの良い冷暗所で保管する |
屋外で保管する場合は、必要に応じて遮光や日よけを設けるなど、温度上昇防止措置を講じなければなりません。
2-3.【安全ルール③】換気をしっかり確保する
引火性液体は常温でも蒸気を発生し、空気と混ざることで爆発性の混合気体になることがあります。
加えて、蒸気は空気より重く、床付近に滞留しやすい性質です。
そのため、保管場所では蒸気が滞留しないよう、自然換気または必要な換気設備を確保することが重要です。
【危険な保管と正しい保管 例】
| 危険な保管 例密閉した倉庫に引火性液体を保管している |
正しい保管 例換気設備を設け、蒸気が床付近に滞留しない構造にして保管する |
可燃性蒸気が滞留した室内では、電気スイッチの操作などのわずかな火花でも爆発するおそれがある点に留意しましょう。
2-4.【安全ルール④】容器の転倒・落下を防ぐ
危険物を収納した容器が転倒・落下すると、漏えいや火災につながるおそれがあります。
そのため、容器は安定した場所に保管し、衝撃や無理な取り扱いを避けることが重要です。
【危険な保管と正しい保管 例】
| 危険な保管 例容器を床に積み上げ、固定せずに保管している |
正しい保管 例不燃材料製の架台に整然と並べ、転落防止措置を設けて保管する |
容器は転倒しないよう安定した場所に設置し、必要に応じて固定します。
また、架台(棚)は不燃材料製で堅固なものを使用し、容器の落下を防ぐためにストッパーや仕切りなどの転落防止措置が必要です。
2-5.【安全ルール⑤】漏れを防ぎ、拡散を防止する
液状の危険物が漏れると、火災や環境汚染につながるおそれがあります。
そのため、保管時は漏れを防ぐとともに、万一漏れた場合でも拡散しないようにすることが重要です。
【危険な保管と正しい保管 例】
| 危険な保管 例容器を床に直接置いて保管している |
正しい保管 例受け皿や囲いを設けて保管する |
容器の密閉状態や劣化の有無を確認するとともに、床を浸透しにくい構造とし、必要に応じて溜桝(ためます)、受け皿、防油堤等を設けて、漏えい時の拡散を防止します。
2-6.【安全ルール⑥】類が異なる危険物を混在させない
類の異なる危険物を同一の場所に保管することを「同時貯蔵」といいます。
消防法では発火や爆発の危険がある組み合わせで同時貯蔵することを原則禁止にしています。
【危険な保管と正しい保管 例】
| 危険な保管 例第1類と第4類の危険物を同じ棚にまとめて保管している |
正しい保管 例類別ごとに保管場所を分ける、もしくは不燃性の壁や仕切りで区画して保管する |
やむを得ず同一場所で保管する場合は、不燃性の壁や仕切りなどで区画し、相互に影響を及ぼさないようにすることが重要です。
2-6-1.危険物の同時貯蔵の可否
異なる類の危険物であっても、下記のように同時に保管できる組み合わせがあります。
【危険物の同時貯蔵の可否 一覧】
|
第1類 |
第2類 |
第3類 |
第4類 |
第5類 |
第6類 |
第1類 酸化性固体 |
― |
✕ |
✕ |
✕ |
✕ |
同時貯蔵可 |
第2類 可燃性固体 |
✕ |
― |
✕ |
同時貯蔵可 |
同時貯蔵可 |
✕ |
第3類 自然発火性物質等 |
✕ |
✕ |
― |
同時貯蔵可 |
✕ |
✕ |
第4類 引火性液体 |
✕ |
同時貯蔵可 |
同時貯蔵可 |
― |
同時貯蔵可 |
✕ |
第5類 自己反応性物質 |
✕ |
同時貯蔵可 |
✕ |
同時貯蔵可 |
― |
✕ |
第6類 酸化性液体 |
同時貯蔵可 |
✕ |
✕ |
✕ |
✕ |
― |
参考:危険物の規制に関する規則|別表第4(第46条関係)
2-7.【安全ルール⑦】適切な容器を使用し、管理する
危険物の種類に応じた材質・強度の容器で保管する必要があります。
不適切な容器の使用や、劣化・腐食した容器を使用し続けることは、漏えいや火災の原因となります。
【危険な保管と正しい保管 例】
| 危険な保管 例錆びた缶や劣化したプラスチック容器で保管している |
正しい保管 例危険物の種類に適した容器を使用し、定期的に状態を確認して保管する |
容器は危険物の性質に適合したものを使用し、密閉状態を保つことが重要です。
また、日常的に容器の外観や劣化の有無を確認し、錆び・変形・ひび割れなどが認められた場合は、速やかに交換しなければなりません。
2-8.【安全ルール⑧】必要な標識・掲示を行う
危険物を保管する場所では、法令上または条例上必要となる標識・掲示を適切に行う必要があります。
標識や掲示が不十分だと、関係者以外が気付かずに立ち入り、事故につながるおそれがあります。
【危険な保管と正しい保管 例】
| 危険な保管 例標識を設置していない、または見えにくい場所に設置して保管している |
正しい保管 例入口などの見やすい位置に標識・掲示板を設置して保管する |
例えば、「火気厳禁」「危険物貯蔵所」「立入禁止」などの表示を明確に掲示しましょう。
なお、表示内容や設置義務の範囲は、施設区分や所在地の条例等により異なるため、所轄消防機関に確認のうえ、出入口など見やすい位置に設置します。
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