本記事では、消防法で定められている危険物第二類「可燃性固体」について、性質や種類・指定数量、注意点などをわかりやすく解説します。
なお、「危険物の種類」については下記記事をご覧ください。
1.危険物第二類「可燃性固体」とは
消防法で第二類に分類される「可燃性固体」は、
火炎によって着火しやすい、または比較的低い温度で引火しやすい固体です。
代表的なものとして、硫化りんや赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、固形アルコールなどが挙げられます。
いずれも火災につながる危険性がありますが、「着火・引火のしやすさ」や「水との反応性」などは物質によって異なります。
1-1.第二類「可燃性固体」の区分
第二類「可燃性固体」の区分は、性状の決まり方によって以下の4つに分かれます。
【第二類「可燃性固体」の主な区分】
| 区分 |
概要 |
第一種 可燃性固体 |
小ガス炎着火試験において、火炎を接触させてから3秒以内に着火し、燃焼を継続するもの。 |
第二種 可燃性固体 |
小ガス炎着火試験において、3秒を超え10秒以内に着火し、燃焼を継続するもの。 |
| 引火性固体 |
1気圧において引火点が40℃未満の固体。 小さな火花や火炎で容易に着火し、燃焼が速い。 |
| 品名で指定されるもの |
硫化りん・赤りん・硫黄・鉄粉:品名だけで可燃性固体とみなされる。 |
なお、硫化りん・赤りん・硫黄・鉄粉については、消防法上、性状試験を行うことなく可燃性固体の性状を有するものとみなされ、指定数量も品名ごとに一律で定められています。
一方、金属粉やマグネシウムなど試験結果により第一種・第二種に区分される物質は、指定数量も区分によって異なり、一般的に着火危険性が高い第一種可燃性固体の方が、より少ない数量から消防法の規制対象となります。
1-2.第二類「可燃性固体」の主な性質
可燃性固体の主な性質は以下のとおりです。
【第二類「可燃性固体」の性質】
| 性質 |
説明 |
| 着火・引火しやすい |
火炎によって着火しやすいものや、比較的低い温度で引火するものがある。 |
| 燃焼が広がりやすい |
一度着火すると、燃焼が急速に広がる場合がある。 |
| 粉末状では危険性が高まることがある |
鉄粉や金属粉などは粒子が細かいほど燃焼しやすく、粉じん爆発につながるおそれがある。 |
| 酸化剤との接触で危険性が高まる |
第一類・第六類のような酸化剤と接触・混合した状態で加熱・衝撃・摩擦を受けると発火・爆発につながるおそれがある。 |
| 水・酸との接触に注意が必要なものがある |
鉄粉・金属粉・マグネシウムは水や酸と反応し、可燃性ガスを発生させることがある。 |
| 燃焼時に有毒ガスが発生するものがある |
硫化りんや硫黄などは、燃焼時に有害なガスを発生させることがある。 |
| 引火性固体は可燃性蒸気を発生しやすい |
固形アルコールなどの引火性固体は常温でも可燃性蒸気を発生するものがある。発生した蒸気は火源に触れると引火するため、注意が必要である。 |
上記のように、第二類「可燃性固体」は物質によって危険性が異なります。
取り扱う際は、対象物質の性質や適切な消火方法を事前に確認することが重要です。
1-3.第一類「酸化性固体」との違い
第二類「可燃性固体」と混同されやすい危険物に、第一類「酸化性固体」があります。
第一類の物質自体は基本的に燃えませんが、酸素を放出するなどして周囲の可燃物の燃焼を促進します。
一方、第二類は、物質自体が着火・引火して燃焼する固体です。
【第一類「酸化性固体」と第二類「可燃性固体」の違い】
| 項目 |
第一類 「酸化性固体」 |
第二類 「可燃性固体」 |
| 主な性質 |
周囲の物質の燃焼を促進する |
物質自体が燃焼する |
燃焼における 役割 |
燃焼を助ける側 |
燃える側 |
| 主な注意点 |
可燃物との接触・混合を避ける |
火気や酸化剤との接触を避ける |
第一類「酸化性固体」については、下記記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
2.危険物第二類「可燃性固体」の主な種類 一覧
第二類「可燃性固体」の主な種類は以下のとおりです。
【第二類「可燃性固体」の主な種類 一覧】
| 品名 |
代表的な物質 |
区分 (指定数量) |
特記事項 |
| 硫化りん |
三硫化りん、五硫化りん、七硫化りん 等 |
硫化りん (100kg) |
燃焼時に有毒なガスが発生するおそれ |
| 赤りん |
赤りん |
赤りん (100kg) |
摩擦や加熱で着火するおそれ |
| 硫黄 |
硫黄 |
硫黄 (100kg) |
燃焼時に二酸化硫黄を発生 |
| 鉄粉 |
微細な鉄粉 |
鉄粉 (500kg) |
粉じん爆発のおそれ |
| 金属粉 |
アルミニウム粉、亜鉛粉 等 |
第一種(100kg) または第二種 (500kg) |
微粉状では着火・爆発に注意 |
| マグネシウム |
マグネシウム粉、削りくず 等 |
激しく燃焼し、水との接触に注意 |
| 危険物第二類を含むもの |
危険物第二類を含む混合物や製品 |
含有量や性状により判定 |
| 引火性固体 |
固形アルコール、ゴムのり、ラッカーパテ 等 |
引火性固体 (1,000kg) |
可燃性蒸気が引火するおそれ |
参考:危険物保安技術協会| 危険物関係用語の解説「第13回:第二類 可燃性固体」
2-1.第二類「可燃性固体」の指定数量について
指定数量とは、消防法による規制を受ける基準となる数量です。
第二類「可燃性固体」の指定数量は、以下のとおりです。
【第二類「可燃性固体」の指定数量】
| 区分 |
指定数量 |
| 第一種可燃性固体 |
100kg |
| 第二種可燃性固体 |
500kg |
| 引火性固体 |
1,000kg |
| 硫化りん、赤りん、硫黄 |
100kg |
| 鉄粉 |
500kg |
危険性が高いものほど指定数量が少なく設定されており、同一の場所で指定数量以上を貯蔵または取り扱う場合は、原則として市町村長などの許可を受けた危険物施設で管理する必要があります。
なお、「危険物の指定数量」については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
2-2.身近な製品に使われる第二類「可燃性固体」
第二類「可燃性固体」は、身近な製品に使われています。
主な製品は以下のとおりです。
<身近な製品に使われる可燃性固体 一例>
- マッチの摩擦面に使われる「赤りん」
- 使い捨てカイロの中身の「鉄粉」
- 花火の光や火花のもとになる「マグネシウム」や「アルミニウム粉」
- 卓上コンロ用の「固形燃料」
ただし、上記製品がすべてそのまま消防法上の危険物に該当するとは限りません。
危険物に該当するかどうかは含有量や形状、性状、試験結果などによって判断されます。
2-2-1. 第二類「可燃性固体」と混同されやすい「指定可燃物」とは
第二類「可燃性固体」と混同されやすいものに「指定可燃物」があります。
指定可燃物とは「消防法上の危険物には該当しないものの、一定数量以上を貯蔵または取り扱う場合に、火災予防上の規制を受ける物品」です。
火災が発生した際に燃え広がりやすいものや、消火活動が著しく困難になるおそれがあるものが対象となります。
代表的なものには以下があります。
<代表的な指定可燃物 一例>
- 合成樹脂類(ゴムタイヤ・プラスチック類・発泡スチロールなど)
- 木毛・かんなくず
- わら製品
品目や規制対象となる数量は政令で、貯蔵・取扱いの基準は各市町村の火災予防条例で定められています。
必要な手続きは自治体によって異なるため、事前に管轄の消防署へ確認しましょう。
参考:
総務省消防庁|危険物政令別表第4
東京消防庁|危険物関係施設の運用基準
3.危険物第二類「可燃性固体」の保管(貯蔵)の方法について
第二類「可燃性固体」を安全に保管するには火気や高温、衝撃、摩擦、酸化剤との接触を避けることが重要です。
具体的には以下のとおりです。
<基本的な保管ルール>
- 直射日光・高温を避け、換気の良い冷暗所に保管する
- 火気・高温体・火花から遠ざけ、加熱・衝撃・摩擦を与えない
- 第一類・第六類などの酸化剤との同室保管を避ける
- 適切な容器を使用し、破損や飛散を防ぐ
なお、危険物全体の保管(貯蔵)については、下記記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
3-1.金属粉・鉄粉・マグネシウムを保管する際の注意点
鉄粉・金属粉・マグネシウムおよびこれらを含有する物品は、水や酸と反応して発熱し、可燃性ガスを発生するおそれがあります。
<鉄粉・金属粉・マグネシウムを保管する際の注意点>
- 火気や熱源から離す
- 水分や湿気を避ける
- 酸や酸化剤と分けて保管する
- 飛散や堆積を防ぐ
- 物質ごとのSDSを確認する
特に注意しなければならないのは、粉末状のものの取り扱いです。
3-1-1.粉じん爆発を防ぐ対策
鉄粉や金属粉などが空気中に舞い、火花や静電気に触れると粉じん爆発を起こすおそれがあります。
粉じん爆発対策として以下も重要です。
<主な粉じん爆発対策>
- 粉じんの発生・飛散を抑える
- 火気や火花を避ける
- 静電気対策を行う
- 粉じんを定期的に清掃する
- 必要に応じて防爆設備を使用する
保管方法は物質によって異なるため、必ずSDSなどで確認しましょう。
参考:危険物保安技術協会| 危険物関係用語の解説「第13回:第二類 可燃性固体」
4.危険物第二類「可燃性固体」の消火方法について
第二類「可燃性固体」の消火方法は物質の性質によって異なり、主に以下3つに分かれます。
【第二類「可燃性固体」の主な消火方法】
| 物質 |
消火方法 |
| 水と接触して発火したり、可燃性ガス・有害なガスを発生したりする物質 |
水系の消火剤を避け、乾燥砂などで覆って窒息消火する |
| 引火性固体 |
泡、粉末、二酸化炭素などで窒息消火する |
| 上記以外の物質(赤りん・硫黄など) |
水、強化液、泡などで冷却消火する |
特に水と反応する物質に水系の消火剤を使用すると、燃焼が激しくなったり、可燃性ガスなどが発生したりするおそれがあるため注意が必要です。
実際の火災では、対象物質のSDSを確認し、消防機関の指示に従いましょう。
5.危険物第二類「可燃性固体」を輸送する際の注意点
第二類「可燃性固体」を輸送する際は、特に下記の点に注意が必要です。
<第二類「可燃性固体」を輸送する際の注意点>
- 容器の転倒・破損や飛散を防ぐ
- 火気・高温・水分を避ける
- 混載できる危険物を事前に確認する
以下、それぞれの注意点について解説します。
なお、危険物の輸送には「容器・積載・混載・表示・消火器」など様々なルールがあり、下記記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
注意点①|容器の転倒・破損や飛散を防ぐ
輸送中に容器が転倒・破損すると、内容物が漏れたり、粉末状の危険物が飛散したりするおそれがあります。
そのため、以下の対策が必要です。
<主な対策>
- 危険物の性質に適した運搬容器を使用する
- 容器を荷台にしっかり固定する
- 容器同士がぶつからないよう積載する
- 容器に強い衝撃を与えない
- 粉末状のものが飛散しないよう密閉する
特に鉄粉や金属粉などが空気中に飛散すると、火花や静電気によって粉じん爆発を起こすおそれがあるため注意が必要です。
注意点②|火気・高温・水分を避ける
第二類「可燃性固体」は着火・引火しやすいため、火気や火花、高温になる場所を避けて輸送します。
また、金属粉やマグネシウムなどは種類や形状によって水分と反応することがあります。
対象物質の性質に応じて、雨水や湿気が入らないよう防水対策を行いましょう。
そのため、以下の対策が必要です。
<主な対策>
- 火気や高温になる設備から遠ざける
- 直射日光による温度上昇を防ぐ
- 雨水が入らないよう荷台を覆う
- 容器を確実に密閉する
- 対象物質のSDSに記載された条件を守る
注意点③|混載できる危険物を事前に確認する
危険物の混載(異なる種類を同じ車両に積むこと)は、多くの組み合わせで禁止されています。
第二類「可燃性固体」は、一定の条件のもとで第四類「引火性液体」および第五類「自己反応性物質」と混載できます。
一方、第一類・第三類・第六類との混載は、原則として認められていません。
ただし、混載の可否は数量や容器、物質の性質などによって異なるため、積載前に法令やSDSを確認しましょう。
参考:危険物の規制に関する政令|第二十九条
サクラ運送は危険物輸送の専門業者として、危険物第二類「可燃性固体」の性質に応じた適切な輸送に対応しています。
第二類「可燃性固体」など危険物の輸送についてお困りの方は、ぜひサクラ運送へご相談ください。